こんにちは。えいこ(@eiko_dokusho)です。
今回は教科書にも出てくる、「学問のすゝめ」を紹介します。
授業で習うほど有名なのに、実際に読んだ人は少ないのでは?
実は現代にも通じるビジネス書だったのです。
もくじ
今回読んだ本について
学問のすゝめ
福沢諭吉 著 岩波文庫 (241ページ)
本の概要
「学問のすゝめ」といえば、
天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずと言えり。
という文言が思い浮かびますよね。
この本は、明治5年から9年までの5年間にわたり、出版された17編の小冊子からなります。
当初は、学問の趣旨を故郷中津の旧友に示す目的で書かれたものでした。
それがあまりにも素晴らしいものだったので、人に勧められて出版に至りました。
当時、160人に1人は読んでいたベストセラーです。
ビジネスのすゝめ 5選
本を読み、実践せよ
私たちは勉強と言えば、教科書を読む。
教養を身につけたければ、本を読めと言われてきました。
社会人になってから、今まで勉強してきたことが役立った実感は少ないのではないでしょうか。
読書は学問の術なり、学問は事をなすの術なり。実地に接して事に慣るるに非ざれば、決して勇力を生ずべからず。
学問のすゝめ 五編より
何かをするためにはもちろん知識も必要です。そのために読書は必須。
しかし得た知識を生きたものにするためには、実践あるのみ。
実際に動いて行動してから見えてくるものもあるのではないでしょうか。
生きた知識を身につけて、豊かな人生を送りましょう。
ルールは守る
国には法律、会社には社則、学校には校則がありますよね。
福沢諭吉は、所属している組織のルールを守ることが大切だと説いています。
既にこれを定めて法となす上は、必ず厳にその趣意を達せざるべからず。人民は政府の定めたる法を見て不便なりと思うことあらば、遠慮なくこれを論じて訴うべし。既にこれを認めてその法の下に居るときは、私にその法を是非することなく謹んでこれを守らざるべからず。
学問のすゝめ 六編より
簡単に言うと、
組織の人間が、ルールを作る人を選んでいる。
「ルールを作る人を選ぶ」ということが、組織に所属している人が負っている責任である。
ルールを破るのは、言わば自分自身を裏切るのと同じ。
もし理不尽なルールがあるのならば、論理を持って誠実に訴えよ。
私たちが一番身近に「ルールを作る人」を選ぶのは選挙ではないでしょうか。
自分が与えられている権利をきちんと行使しようと思いました。
自分を振り返る習慣をつけよ
簡単に言うと、
人は案外自分が思っているよりも、ダメである。
なにか成したいのであれば、まず自分の現状を把握せよ。
次に、大きい夢と小さい目標を立てよ。
定期的に振り返って、自分の現状を常に把握せよ。
ただ流れ渡りにこの世を渡りて、嘗てその身の有様に注意することなく、生来今日に至るまで我身は何事をなしたるや、今は何事をなせるや、今後は何事をなすべきやと、自らその身を点検せざるの罪なり。故に云く、(中略)一身の有様を明らかにして後日の方向を立つるものは智徳事業の棚卸なり。
学問のすゝめ 十四編より
この考え方はビジネスシーンでも大いに役立つと思います。
仕事の現状把握→最終目標の設定→小さい目標の設定→週一で現状をチェック
することで、仕事のしかたの見直しの指標となるのではないでしょうか。
日常生活では日記で、心の棚卸しをしてみてはいかがでしょうか。
信じるな、疑え
信の世界に偽詐多く、疑の世界に真理多し。
学問のすゝめ 十五編より
人に言われたことや外から入ってきたもの、新しく言われていること、普段なにも考えずに接している習慣などを、何も考えずに信じてはならない。
闇雲に信じていても良いことは起きない。
科学の進歩もみんな疑うことから、真理を追求してきた。
何か新しいものを生み出すためには、疑うことも大事である。
幾多の書を読み幾多の事物に接し、虚心平気活眼を開き、もって真実の在るところ求めなば、信疑忽ち処を異にして、昨日の所信は今日の疑団となり今日の所疑は明日氷解することもあらん。
学問のすゝめ 十五編より
仕事がうまく進まない、煮詰まっているときには疑うことで道は開けるかもしれません。
人望のある人になれ
そもそも人望とは?
ただその人の活潑なる才智の働きと正直なる本心の徳義とをもって次第に積んで得べきものなり。
人望は智徳に属すること当然の道理にして、〜
学問のすゝめ 十七編より
人望があるとは、この人は確かである、頼もしい人である、この人に仕事を任せても大丈夫だと思われることです。
そのためには、「活潑な才智の働き」と「正直な本心の徳義」で徐々に得ていくものだと言っています。
人望を得るためにはどうしたら良いか?
1. 言語を学べ
文字に記して意を通ずるは固より有力なるものにして、(中略)近く人に接して直ちに我思うところを人に知らしむるには、言葉の外に有力なるものなし。
学問のすゝめ 十七編より
2. 容姿を整えよ
顔色容貌を快くして、一見、直ちに人に厭わるること無きを要す。
学問のすゝめ 十七編より
3. 新しい出会いを求めよ
人に交わらんとするには啻に旧友を忘れざるのみならず、兼ねて新友を求めざるべからず。
学問のすゝめ 十七編より
この編の最後は「人にして人を毛嫌いするなかれ」と締められています。
出会う人を毛嫌いせず関わっていくことで、人望のある人になれるのではないでしょうか。
読み終えて
まだまだある福沢ワールド
ここでご紹介したのは、「学問のすゝめ」に書かれているほんの一部です。
他にも、「浮気はよろしくない」や「過保護は罪だ」など現代でも通じる話題が豊富です。
少し文語調で読みにくいところもありますが、皆さんにオススメしたい本です。
岩波文庫はハードルが高い
私が読んだのは岩波文庫の青本ですが、
文字も小さくかなり読みにくいと感じられる方も多いかもしれません。
教育学者の斎藤孝さんが現代語訳しているものも出ているので、こちらから読んでみるのも良いかもしれません。