今回はちきりんさんの『自分のアタマで考えよう』という本をご紹介します。
最初は夫に勧められて読んだのですが、これは
「子供にも読んで欲しい!!」
「これからの時代に必要な力が身に付く」
と確信したので、
私がこの本を読んで「子供に身につけて欲しいポイント」と感じた部分を中心にご紹介します。
なぜ子供に読んで欲しいと思ったのかというと、「考え方」「思考術」というのは日本の義務教育でほとんど教えられないから。
ちきりんさんは高校生のころ「数学は暗記!答えをみて解法をマスターすれば解ける!」と思っていたそうです。
「社会で出てきたデータも暗記!」「古典は単語を暗記しておけばOK!」「物理も公式を暗記!」と日本の教育では基本「暗記」で試験を乗り越えられてしまいます。
でも「暗記」とは「知識」を頭の中に詰め込んでいるだけで「考える」という作業をしていません。
(ちきりんさんは「考える力が身につかない!」と気が付いたのは社会人になって5年以上経ってからだそうです。)
それで日本の「試験」を乗り越えて、無事に学校を卒業して社会に出たら「考える」ことを要求されます。
ちょっと理不尽だと思いませんか?
これからは「考える」ことを重視される時代になってきます。
自分の子供たちがきちんと「自分のアタマで考える」能力を身につけるために、この本は中学、高校の課題図書にして欲しいと思います。
もちろん子供だけではなく、大人が今の社会を生き抜くためにも重要な考え方が満載!
私もちきりんさんの考え方を実践してみようと思っています。(できるかな?)
「考え方」の本としてはとてもわかりやすく書かれているので、少しでも「買おうかな?」と思っている方は絶対買うべきです!!
図書館で借りるのではなく、自分の手元に置いてバイブルとして使い倒すのがオススメ。
「自分のアタマで考えよう」は内容がとても濃くて、この記事で全部は紹介しきれません。
(私的)「子供に身につけて欲しいポイント」に絞ってご紹介していきます。
もくじ
『自分のアタマで考えよう』ちきりんってどんな人?
人気ブロガーちきりん
言わずと知れた、人気ブロガーのちきりん。
関西出身。
バブル期に証券会社に就職後、アメリカへ大学院留学。
外資系企業勤務を経て、2011年から文筆活動に専念する。
2005年に社会派ブログ「Chikirinの日記」を開設し、日本有数のアクセスと読者数を誇っている。
『自分のアタマで考えよう』『マーケット感覚を身につけよう』『自分の時間を取り戻そう』(ダイヤモンド社)は累計30万部のベストセラーに。
そのほかにも、『「自分メディア」はこう作る! 大人気ブログの超戦略的運営記』(文藝春秋)がある。
『自分のアタマで考えよう』の特徴
この本のスバラシイところは、実際のデータ(出生数と合計特殊出生率の関係など)やちきりんさんが作った表などを使いながら、その時どう考えたのかが解説されているところです。
ちきりんさんが情報やデータなどの「知識」を得た時に、どのように「思考」に繋げているのかそのステップが詳細に解説されています。
『自分のアタマで考えよう』の目次はこのような感じです。
はじめに
★序章 「知っていること」と「考えること」はまったく別モノ
第1章 最初に考えるべき「決めるプロセス」
★第2章 「なぜ?」と「だからなんなの?」と問うこと
第3章 あらゆる可能性を検討しよう
第4章 縦と横に比べてみよう
★第5章 判断基準はシンプルが一番
第6章 レベルを揃えて考えよう
第7章 情報ではなく「フィルター」が大事
第8章 データはとことん追い詰めよう
第9章 グラフの使い方が「思考の生産性」を左右する
★終章 知識は「思考の棚」に整理しよう
おわりに
この記事では、★印をつけた、
- 「知っていること」と「考えること」はまったく別モノ
- 「なぜ?」と「だからなんなの?」と問うこと
- 判断基準はシンプルが一番
- 知識は「思考の棚」に整理しよう
の4つのポイントについて簡単にご紹介します。
ちきりんさんが「考えること」について本にしようと思った理由の一つが、
「Chikirinの日記」がこれだけ多くの人に読まれるってことは、「実は、読者の方もみんな、考えることが好きだよね!?」と思えたからです。
「思考って何?」「アタマを動かすってどうすれば良いの?」というのを直接扱った本にしたいと思って、この本を執筆したそうです。
「どう考えたら良いのか」がわかる本です。
ちきりんの思考術1:「知っている」と「考える」は全く別モノ
ちきりんさんは、
「知っている」とは「過去において、他の人がその人のアタマで考えた結果」
「考える」とは「未来に通用する論理の到達点」
と言っています。
「知っている」というのは、本を読んだこと、授業を聞いて学んだこと、ニュースを見て知ったことを頭の中に保存している状態のことです。
他の人が考えた結果なので、もしかしたら正しいかもしれないし、間違っているかもしれません。
「考える」というのは、新しい現象、新しい情報に出会った時に過去の知識にとらわれず、目の前の情報から何かを読み取ることです。
例えば、
この図からわかること、言えることはなんですか?と言われたらどうしますか?
- プロ野球ファンの高齢化が進んでいる
- このままではプロ野球の未来は暗い
- 若いファンを獲得する努力をしていない
- (いい選手が海外に流出して)日本の野球は面白くなくなっているのでは?
これは、「考えた」ではなくて「知っていた知識を導入した」だけだとちきりんさんは言います。
なぜなら、ある情報から良い面、もしくは悪い面しか読み取れない場合は読み手に最初からバイアスがかかっており、「考え」が「もともと知っていること」に影響されているから。
プロ野球のファンは高齢化していてい未来が暗くて...と悪い面しか挙げられていないので、ちきりんさんは「知っていた」としたんですね。
(厄介なことに、正しい知識だとなおさら「考えた」感じになってしまうので危ないのです。)
「考える」ためには、「知っている知識」を一旦おいておいて、目の前の情報と向き合う必要があります。
まぁ、なかなか難しいんですがね。
ここでは、「知識」と「思考」は全く別モノなんだということが頭の隅っこにあればOKです。
ちきりんの思考術2:「なぜ?」「だからなんなの?」と問う
情報を見たら、まず最初に「なぜ?」「だからなんなの?」という疑問を頭に浮かべましょう。
「なぜ?」は数字(データ)の背景を探る問い
「だからなんなの?」は次に何が起きるの?それに対して自分はどうするべきなのか?の問いです。
↓こんな図を見た時にどう反応するかがポイント
大抵の人は上のグラフを見て、「ふーん、売り上げが順調に伸びてるねーよかったじゃん」で終わってしまいます。
しかし、「考える」ためには
売り上げが上がってるのはなんで?
拡大している市場だから?
ブランドが定着してきたから?
物価が上がっているから?
4年連続売り上げが上がったのはなんで?
過去4年は売り上げが上がっているからなんなの?これからどうしたら良いの?
今後売り上げは伸びていくのか?
市場に占める割合はどれくらいなのか?(これから購入する顧客がいるかどうか?)
この商品の需要は続くのか?
を考えるようにしましょうってことです。
1つの情報に対して十分な時間をかけて考えましょう。
「情報と思考のバランス」が大切です。
一つ「情報」を受け取ったら、その「情報」が作られたのと同じくらいの時間をかけて「考え」ましょう。
新聞や教科書に出てきたグラフを見ながら子どもと一緒に「なぜ?」「だからなんなの?」を問いかける練習をしてみると良いかもしれませんね。
ちきりんの思考術3:判断基準はシンプルが一番
日常会話でこんなことはありませんか?
「今日の夕飯どうしよう?」
「なんでもいいよ!」
「なんでもいいじゃ決まんないじゃん!!」(イライラ)
これは、「夕飯のメニューを決めたい」のに「なんでもいい」という広範囲な回答をされて「決まらない」状態になっていますね。
でも、こうだったらどうでしょう?
「今日の夕飯どうする?」
「どっかに食べにいく?うちで作って食べる?」
「今日は疲れてるから外食が良いかな。何食べたい?」
「疲れててあんまり遅くならない方が良いから、近くの◯◯に食べに行こうか!」
「夕飯を食べる」ことに対して、外食か内食か、遠いところか近いところかという判断基準を設けることで、「夕飯をどうするか」が決まりました。
何かを決める時に、明確な判断基準を設けるとスムーズにどうするか考えやすくなります。
「自分のアタマで考える」でわかりやすい例が出ていたのでご紹介します。
婚活している女子は、頭の中にこのような2×2の表を作っているそうです。
「相性」と「経済力」という2つの価値観で相手を選んでいます。
左上の相性◎、経済力◎は即ゲット!
右上の相性×、経済力◎の場合は、経済力は自分の力でなんとかできないけど、相性は自分次第でなんとかなるかも!ということで、付き合いながら結婚するかどうかを見定めます。
左下の相性◎、経済力×の場合は、経済力は自分の力でなんとかできないので、とりあえずキープして友達でも良いかなという感じで関わります。
いうまでもなく、相性×、経済力×の場合は圏外です。
このように2×2の表を作って分類すると、考えがスムーズになります。
何かを決める、考える時には紙に2×2の表を作ってみるようにしましょう。
2×2の表を作って自分のやる仕事を見極める方法は「7つの習慣」にも書かれています。
自分の時間を見直したい方はこちらもご覧ください。
ちきりんの思考術4:知識は「思考の棚」に整理しよう
「考える」ためにはもちろん「知識」を持っている必要があります。
でも「知識」はただ持っているだけではなくて、頭の中に整理されている状態のほうが取り出しやすいですね。
(乱雑に散らかっている部屋で目的のものを探し出すのは難しいけど、ラベルをつけて整理されていたら探しやすい!)
この「知識」が頭の中の「思考の棚」に整理されていると、
個別の知識が意味をもってつながり、全体として異なる意味が見えてくることがあります。
「自分のアタマで考えよう」ちきりん
こうやって知識が繋がった状態から出てくる新しい”意味”が「洞察」と呼ばれるものになるそうです。
自分が得た知識をちゃんと棚の中に整理しておけば情報を受け取ったときに反応する「情報感度」が高められます。
「情報感度」が高いというのは、何気ないものをみて、「あっ、なるほど!」と瞬時に何かを考えつけるということ。
こういう人は頭の回転が早いわけでも、大量の知識を持っているだけではなくて、頭の中がきちんと整理されている状態なんですね。
「この情報が手に入れば何がわかるか、何が言えるようになるか」を想定しておくと、「情報感度」が上がり「情報を手に入れる価値」も判定できるようになります。
2016年に東大生による強制わいせつ事件がありました。
世間で責められたのはなぜか被害にあった女子大生(有名ではない女子大の学生)でした。
これが他の場合だったら...など違う可能性を考えておきます。
上の強制わいせつ事件を例にどういうケースが考えられるかを想定してみました。
- 加害者が東大生ではなくて普通の20代男性と報道されていたらどうなっていたか?
→被害者を擁護する意見が主体になる - 被害者の女子大生が女優並みに美人だったら世間の反応はどうだったのか?
→女子大生の顔を世間がもてはやす。美女だから調子乗っているという意見が主体になる。 - 被害者の女子大生が東大生だったらどうなっていたか?
→女が東大に入って調子乗っているという、被害者を責める意見が主体になる。
それに対して実際にその事件がおきた時にわかることも考えておきます。
- 普通の20代男性で被害者を擁護する意見が主体になった場合
→世間は「東大ブランド志向」を捨てきれていない - 被害者が美女で、美女が調子に乗っていたという意見が主体になった場合
→世間の美人への憧れと嫉妬は根強い - 被害者が東大生で、被害者を責める意見が主体になった場合
→女は頭が悪い方が良いという風潮はまだ根強く残っている
このように「この情報を受け取ったらこう考えられる」というのを事前に整理しておくと、その「情報を受け取る価値」がわかるようになります。
この「情報を手に入れる価値」が判定できる能力は、今の情報化社会に不可欠な能力なのではないかと思います。
「自分のアタマで考える」のはこれから絶対必要になる!
何でもかんでも、情報はネットで調べれば手に入ります。今の世の中は情報が溢れているのです。
でもいろんな人がネット上で情報を発信しているので、情報は玉石混交。宝もあれば石ころもあるんですね。
石ころの情報に惑わされないように、情報を確実に受け取って自分のものにしていく能力がこれからの時代に求められるのではないでしょうか?
そのためには、「情報感度」をあげること、自分で考えて情報の価値を判断できることが大切。
これは学校では習わない能力です。
今の子どもたちは「デジタルネイティブ」で生まれた時から、ネットがすごく身近な存在です。
ネットは”海”に比喩されるように、穏やかで居心地が良い場所もあれば、嵐で荒れ狂っている場所もあります。
子どもが安全な場所を渡っていけるように、必要な地図を持たせてあげましょう。
その地図が『自分のアタマで考えよう』だと思います。
子どもだけではなく、大人も石ころのような情報に惑わされないように「考える力」を身につけましょう!
- 「知識」と「思考」は違うものだと意識する
- 情報を見たら「なぜ?」「だからなんなの?」という疑問を頭にうかべよう
- 2×2のマトリックスを頭に浮かべて判断しよう!
- 「知識」を頭の中に整理しておきましょう
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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