吉野弘の詩から学ぶ人生を豊かにする考え方  妻と娘二人が選んだ「吉野弘の詩」3選

子育てがうまくいかない…。
夫婦関係がうまくいかない…。
自分なんて必要とされてない…。

そう思ったことありませんか?
私はあります。(幸いそう思うことはごくわずかですが)

でもそんなときに、これを知っていたら
落ち込み方が軽くなる、こんな考え方をしたらきっとうまくいく
そう思えるものに出会えました。

それが吉野弘さんの詩です。

吉野弘さんは国語の教科書にも詩が掲載されるなど、日本を代表する詩人の一人。
今回は『妻と娘二人が選ぶ「吉野弘の詩」』の中から、子育てに迷ったとき、夫婦関係をどうにかしたいとき、自分の存在意義に迷ったときの参考になりそうな3つの詩を選んでご紹介します。

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子育てに迷ったとき

(前略)
奈々子
お父さんは お前に
多くを期待しないだろう。
ひとがほかからの期待に応えようとして
どんなに
自分を駄目にしてしまうか
お父さんは はっきり
知ってしまったから。
(略)
お父さんが
お前にあげたいものは
健康と
自分を愛する心だ。

ひとが
ひとでなくなるのは
自分を愛することをやめるときだ。

自分を愛することをやめるとき
ひとは
他人を愛することをやめ
世界を見失ってしまう。
(略)
お前にあげたいものは
香りのよい健康と
かちとるにむづかしく
はぐくむにむづかしい
自分を愛する心だ。
(後略)

奈々子に

親の期待が子供を駄目にする!?

吉野さんが自分の子供に宛てたこの詩、いかがでしょうか。

親が自分の子供に期待しないってどうなの!?じゃあ親はなにするの!?
と思わず言い返しそうになり、そのあとで父として与えたいものはこれ、と続く。
そしてその理由が深い。

親が子供に教えたり与えたり、こうなってほしいと期待することってどうしても多くなってしまいます。

でもこの詩は、親が子供に教えるべき与えるべきものは決して多くない、そう読み取ることができます。

期待に応えようとして応えられなくて、落ち込んだり腐ったりしたことってありますよね。

私も幼い時は家族に文武両道を期待されていたように思います。
幼い時は褒められることが嬉しかった。できることが多くて、また褒められて楽しかった。

でも大きくなるにつれて挑戦する内容がどんどん難しくなっていって、できないことも増えた。
そして周囲の期待に応えられなくて落ち込む、周囲の期待をプレッシャーに感じてしまう。

自分はどこかでプレッシャーを吹っ切ったのでしょうが、自分の子供そうならないかもしれない。
プレッシャーで潰れてしまうかもしれない

あれこれ言いすぎると却って子供のためにならないかもしれない、そう思わせてくれました。

ひとの条件って?

「ひと」とはなにか、哲学的な問いですよね。
おそらく色々な答えがあると思います。

吉野さんは反対に「ひとであること」を考えるよりも「ひとでなくなる」ことを考える。
自分を愛することをやめるとひとでなくなる、これは真理ではないかと思いました。

私も「ひとであること」について考えた時期がありました。
でも考えることが多すぎて結局考えることを放棄…。
この詩をきっかけに「ひとでなくなる」ことを考えてみたら、出てくるものはそう多くないと気が付かされました。

この逆転の発想、「ひとであること」について考えるのに有効でしたが、他のことにも応用できる素晴らしい考え方です。

例えば仕事のやり方について、
「成功するやり方」を考えてみます。
「あれやらなきゃ、これやらなきゃ」とやることばかりになってしまいそうですね。

では反対に「成功しない(失敗する)やり方」を考えたらどうでしょう。
「これやったらNGだな」というのが挙がってくると思います。
そうしたら反対に「これだけはやらないようにしよう」と考えになりますよね。
本当にやらなくてはいけないことが何なのか見えてきそうです。

問題が難しいときほど役に立ちそうな思考方法だと思いました。

自己肯定感を育てる

吉野さんが親としてあげたいものは、育むのが難しい自分を愛する心、と言います。
これはつまり、自己肯定感を持って生きてほしいと言っているのではないでしょうか。
だとすればこれまた真理だと思います。

生きているとどうしても他人と比較する場面が多くて、自分のイヤな部分に気が付かされます
そんな時イヤのままで終わらせないですよね、直せるなら直す。
でも直せないものもある。

そんな時、イヤな部分を持っている自分をきらうのではなく、イヤな部分がある自分を受け入れて愛することができるか。
これは幸せと不幸せの分岐点です。

世の中には不幸な事象はない、不幸だと思う自分がいるだけ。
幸せな事象はなく、幸せに思う自分がいるだけ。
(参考図書:『22世紀への伝言』小林正観著)

自分を愛する心があれば、不幸せへの道を選ぶことはなくなるのではないでしょうか。

それと自己肯定感がないと、他人の評価ばかり気にして人生を不幸にしてしまうそうです。
しかも世の中にそういう人は結構多いんだとか。
(参考図書:『幸福のための人間のレベル論』藤本シゲユキ著)

自分を愛する心、いつまでも持ち続けていこう、子どもも一緒に育んでいこうと思います。

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夫婦生活に迷ったとき

二人が睦まじくいるためには
愚かでいるほうがいい
立派すぎないほうがいい
(略)
完璧をめざさないほうがいい
(略)
二人のうちどちらかが
ふざけているほうがいい
(略)
互いに非難することがあっても
非難できる資格が自分にあったかどうか
あとで
疑わしくなるほうがいい
正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい
相手を傷つけやすいものだと
気づいているほうがいい
(後略)

祝婚歌

完璧を求めると疲弊する

「こうあってほしい」「こうすべき」というのは人それぞれ。
だけどそれを自分にも相手に求めすぎると、できない/できていないことにストレスを感じますよね。

例えば私も新婚当初は妻に対して「もう少し掃除してほしい」とか思うことがありました。
「床に髪の毛がこんなに落ちてるのになんで掃除しないの!?」とイライラが溜まってくんですね。
でもあるときから「掃除くらいどうでもいいや。自分でやっちゃえ。」と考えを変えてみた。
そうしたらストレスがなくなった。
相手に求めすぎていたんだと反省しました。

自分の方がズボラなので妻の方がストレスを抱えることが多い我が家ですが、お互い少しずつ完璧を求めなくなっています。
そのおかげかケンカもほとんどしませんし、良好な関係を維持できていると思います。

「完璧をめざさないほうがいい」これもまた真理です。

ケンカするときの注意事項

夫婦生活にケンカはつきもの。
だけどケンカの仕方に気をつけないと取り返しのつかないことになってしまう。

ケンカしたときって「自分は絶対に正しい」って思いながら相手を言いくるめようとしまいがちではないでしょうか。
たとえ自分の主張が正しくても言い方を間違えれば、相手にはイヤな思い出が残って根に持ってしまう。
身近にいる人ほど伝え方には気をつけよう、そう思わせてくれました。

そしてそもそも論として、自分が相手を怒れるほどの人間か疑ってみるというのは胸にグサッときました。

考えてみたらそうですよね。
自分は人間。相手だって同じ人間。ということは自分と相手は対等でしょう。
そうなればどうして自分が相手を責めることができるのでしょうか。

ケンカしようと思って日常を過ごしているわけではないですが、どうしてもケンカしてしまいますよね。
でもケンカの後冷静になって「そんなに怒るほどのことじゃなかったな」と思ったときは「あのとき言いすぎてごめんね」と素直に謝る、こういった心がけが夫婦円満のコツなんだと思いました。

奥さん、今までの偉そうな発言の数々、どうかお許しください。

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自分の存在に迷ったとき

 主人の机の上から 屡々ネジが紛失した。そのたびに家中のものは口を揃えてアリバイを主張するので 結局 ネジがひとりで逃亡したことになった。
ところが 実際に ネジはひとりで逃げ出すということを 主人は ひそかに感づいていたのだ。それにしても 時計の部分品が何事かを主張し始めたということは驚くべき事であった。
(略)
<すべての機械の特長は 無駄のない合目的性に在る。ネジがひとつなくても 時計全体の機能が停止するのは 全くこのためである。これは 一個のネジにとっても光栄でなければならぬ。
(略)
ネジの逃げ出す理由は ぎりぎりのところいったい何だろう。この時計にとって無くてはならないことが どうして なぐさめにならないのか。あいつは 自分の値打ちを絶えずぶちこわしているのだ

謀叛

自分の存在とは

ネジを擬人化したこの詩。
ネジが落ちてしまう事象を、自分の居場所はここじゃないぞとネジが主張しているとかのように見る、その着眼がまず凄い。

たったネジひとつでもなくなれば時計は動かなくなる。
だから「ネジよ、そのことを光栄に思え。自分の存在を誇れ。
逃げ出すネジに「おまえが必要なんだ。どうして自分の存在を否定するんだ。
ネジに語りかけるのです。
凡人ではそんなこと考えもつきません。

そして本当に凄いのは、この想像が時計とネジの話にとどまらないこと。

ネジを自分、時計を人間社会や家族に置き換えてみたらこの詩はどう読めるでしょうか。
「あなたは社会や家族にとってなくてはならない存在だ」と聞こえてきませんか?

「自分の価値を自分で否定してはならない」
「今いる場所でも考え方ひとつで幸せになれる」
そう伝えたいんだと思います。
世の中は時計みたいに機械仕掛けじゃないし、無駄なものなんてたくさんある!
という反論は一旦部屋の隅っこにポイッですよ…

他人から見たら幸せそうなのに本人は幸せに感じていない、世の中のあるあるを巧みに時計にたとえた詩ではないでしょうか。

心動かされる詩の数々

紹介した3つの詩以外にも多くの詩を残されています。
「夕焼け」、「I was born」、「虹の足」は国語の教科書にも掲載されたそうです。
教科書に載るのもうなづける、考えさせられる作品でした。

他にも心に響く詩が多くありましたが、私のお気に入りは「茶の花おぼえがき」。
吉野さんの生死観には驚嘆の一言に尽きました。

きっとあなたの心が動かされる詩があると思います。
興味があればぜひ読んでみてください。

<参考図書1>
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