あなたはなぜ結婚したのですか?
なぜ結婚しないのですか?
あまり、そんなことを考えたことは無いと思います。
辻村深月さんの「傲慢と善良」は、「結婚とは?」「なぜ結婚したの?」を深く考えさせられる小説でした。
読み始めたらその世界観に引き込まれてしまい、あっという間に読んでしまいます。
読み終えた時のなんとも言えない安堵感と清々しさは是非とも体験していただきたいです。
と紹介されていました。
と気になってしまいました。
恋愛小説って女性が主人公のことが多いと思うのですが、「傲慢と善良」の主人公は男性です。
辻村さんのインタビューでは、
という疑問も、辻村さんは小説の中でしっかり回答してくれます。
物語は二部構成で、第一部は架の視点、第二部は真実の視点で話が描かれます。
第一部ではストーリーの構成・伏線などが(少し単調さはありますが)丁寧に描かれていて、第二部で一気に展開していき読み応え抜群。
女性と男性、地方と東京、世代による結婚観の違いがうまく対比されていて、読んでいて気づかされることが多かった。
辻村さんの人のいわゆる汚い部分や残酷さの描写が見事で、読んでいる私が自分のことかも...とドキドキしながら読んでいました。
婚活アプリやインスタグラムなど現代的な要素が取り入れられており、辻村さんが着想を得た「高慢と偏見」(18〜19世紀のイギリス)と綺麗な対比になっています。
って思っていました。
この小説の主人公たちをはじめ、身近にもお見合いアプリを使っている人は結構いるようです。
さらに、お見合いアプリで出会って、結婚して、素敵な家庭を築いている人もいます。
今まで持っていた、「アプリとかを使わないで出会うべき」という価値観が古いものであることを気づかされました。
時代と共に、「出会い」の形は変化していっても良いのではないか思うようになりました。
しかし、二人の娘をもつ身としては、ネットの顔も見たことない人に会うのには注意を促さなければとも感じています。
もくじ
「傲慢と善良」ってどんな本?
「傲慢と善良」
辻村深月 著 朝日新聞出版 414ページ
辻村深月さんってどんな人?
1980年生まれ。 2004年、『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞し、作家デビュー。 2012年、「鍵のない夢を見る」で直木賞を受賞。 2018年、『かがみの孤城』で本屋大賞を受賞。 2019年3月公開の映画「ドラえもん のび太の月面探査記」の脚本も務めている。 乗りにノッている、女性作家の一人。 私が初めて読んだ辻村作品は『朝が来る』でした。 『朝が来る』は特別養子縁組や不妊治療、ママ友との関わりなど母親に関する深いテーマのの物語でした。 『朝が来る』もオススメの一冊です。なんで読んだの?
朝日新聞の好書好日で、辻村さんの「傲慢と善良」に関するインタビュー記事をたまたま見つけて面白そうだったので購入しました。本屋大賞受賞作『かがみの孤城』で老若男女の切なくも優しい涙を誘った著者が、今度は恋愛や結婚に悩む世代の真実を暴いて打ちのめす。辻村深月さんの新作長篇『傲慢と善良』(朝日新聞出版)は一人の女性の失踪事件から始まり、現代人の婚活をめぐる息苦しさを多方面からあぶり出す。作家生活15周年記念にふさわしい、凄みのある一作だ。インタビューでは
婚活めぐる息苦しさをあぶり出すビターな”恋愛小説”
えいこ
恋愛小説は甘くてなんぼじゃ無いの?
あまーい恋愛小説と言えば村山由香さんを想像しますが...
ビターな恋愛小説ってどんな感じ?
どんなストーリーだった?(ネタバレなし)
物語の最初は、主人公の架(30代後半)の婚約者である真実の失踪事件から始まります。えいこ
このストーリー構成!
小説の世界観に一気に釘付けになります。
『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』を書いた時は、女性の辛さにしか目がいっていなかったんです。でも今は、男性は男性で辛いだろうと思う。たとえば地方に住んでいると、職探しにしてもどのお店に行くかにしても、選択肢が少ないのは男性も女性も同じですよね。それで、男性たちのことも書きたいと思いました。主人公の架がストーカーにさらわれた婚約者の真実を探すために、彼女の実家や地元を訪れたり、関係者から話を聞くうちに彼女の知らない一面が見えてきます。 彼女の知らない一面を知り、架はどう結婚に向き合い、どう決断するのか?... あまーい恋愛小説とはかけ離れた、辻村版”恋愛小説”がそこにありました。 結婚をテーマにした恋愛小説でありながら、人間の「傲慢さ」と「善良さ」を描いた人間小説です。 辻村さんは、現代の人が結婚できない理由として人の「傲慢さ」と「善良さ」を挙げています。
えいこ
「善良」な人が結婚できないってどういうこと?
fa-lightbulb-o
こんな人にオススメ
- 結婚について考えたことも無い人
- 結婚しようと思っている人がいる人
- 結婚したけどマンネリ化している人
「傲慢と善良」から結婚の決断の仕方を考える
人生における大きな決断として「結婚」をあげる人は多いのではないでしょうか? 私の場合も「結婚」は人生の大きなターニングポイントになっています。 結婚して、名前が変わり、住む場所が変わり、家族が増えて...結婚する前は今の自分は想像できなかったと思います。 架や真実のように30歳になっても恋人がいない、結婚が現実的に考えられない人が身近にいるんです。 そういう方たちに、ぜひ読んでもらい! ”結婚について”特に印象的だったのが、(結婚の決断について)恐怖や不安に突き動かされた社会的な要請によってであって、そこに本人の意思はありません。そして、そんな理由でもうまくいって結婚できるなら、私はそれでいいと思います。 「傲慢と善良」 辻村深月
親に言われてでもなんでも強引に、選択しないまま、新しいステージに飛び込む方がいいんです。何も考えないまま結婚して、出産して、それでいいのではないか、と私は思います。 「傲慢と善良」 辻村深月昔のお見合い結婚みたいな価値観ですよね。 私が大学の時の先生が、「(結婚する相手に)100点満点を求めるな。合格点(60点〜70点)を設定して、その不足分が自分の許容範囲内であれば結婚しても良いのではないか。」と言っていたことを思い出しました。 (「傲慢と善良」の中にも、相手に点数をつけるシーンが登場します。) 私も年齢的なこと、今後の人生設計においてこのタイミングだ!というところでお付き合いしていた人がえい夫さんでした。 結婚したあとに、価値観のすり合わせ(日常生活や育児のことに関して)をしながらお互いを理解しようとしているところです。(ケンカやちょっとしたいざこざなどは日常茶飯事です) でも、えい夫さんと結婚して後悔したことは一度もないし、他の人が良かったと思うこともありません。 結局、結婚なんてそんなものなのかもしれません。 もしかしたらもっといい人が世の中にはいるかもしれませんが、今が楽しければそれでいいのでは?と割り切っています。 絶対に譲れない条件を満たしていれば、結婚してみてその後を考えてみるのもありなのではないでしょうか?
結婚する「出会い」の形はそれぞれ
昔はお見合い結婚が当たり前で、初めましての人と結婚する人も多かったとか... 現在は、自由恋愛で結婚することがスタンダードとなってますよね。 でも一生の間に会える人の人数なんて限られているし、その中に自分の理想を100%満たせる人なんてそうそういません。 この小説では、結婚相談所やお見合いアプリなどが登場します。 以前の私だったら、えいこ
お見合いアプリってどうなの?
ちょっと怪しげだし、結婚式でどうやって出会ったって言うの?